ザ・マスター

観終わった後に色々と反芻してしまう。

(以下ネタバレ)
ポール・トーマス・アンダーソン監督作は「マグノリア」以降のは観ている(といってもこれ含め4作だけど。もっと撮ってほしい。。)のだけど、この映画が一番観た後に考え込んでしまうというか、一体自分が観たものはなんなんだろうと思考してしまうというか。

まず単純に、シーンごとの画力が半端なくて色々なカットが強く印象に残る。ホアキン・フェニックスがカメラを撮影しているのを正面から捉えた何気ないカットすら鮮明に覚えている。特に印象深いのは、ホアキンが畑を全力疾走で逃げるカットと、その直後にパーティが行われている船と、波止場を寄る辺なく歩くホアキンを交互にフォーカスしたカット。どっちもカメラを移動しながらのショットで、なんというか今俺は良い映画を観ているのかうおおと良く分からんけどグッときた。

なんかそういう「あのシーン良かったよねー」と話しだすとこの映画は大体のシーンが良いので話が止まらないことになるのだけど、総体としての印象をつかもうとすると途端に長考に入ってしまうというか。明確なお話というのはそんなになくて、複雑な余韻をビンビンに残して終わるのでそうなってしまう。とりあえず一面的に「ホアキン・フェニックスフィリップ・シーモア・ホフマンのブロマンス映画として観ましたーすごく良かったですー特にホアキンが釈放されて2人が庭で犬のようにじゃれ合うシーンとかたまらんっすわー」と言うことはできるのだけど、それはあくまで一面であって他にもいろんな側面を持ついい映画と思います、と適当に終わらせる。(ってかいい映画ってそもそもそういうものか。。)