アーティスト

アカデミー賞作品賞受賞作ってことでいそいそと観に行った。
でも思い返すと、作品賞受賞した映画で自分にバッチリはまったのってあまりないんだよな。。

(以下ネタバレ)

始まって最初に、サイレント映画とはどういうものかを劇中劇で見せてくれて、そっから「この映画自体もこのサイレント方式でいきますよ」というのを示してくれる。このメタ構造に多少戸惑いがなくはないのだけど、話が動き出してしまえばあまり気にせずに「そういうもの」として観ることができた。

ジョージがペピーのことを気になって仕方がない、というのをテイクの繰り返しで見せるシーンが、表情や動きで見せるサイレント映画ならではといった感じですごく良くて、それだけで元は取れたかなと。ただ、サイレント映画からはあえて外れる演出が2箇所あって、割と序盤のジョージが見る悪夢のシーン(葉っぱが落ちるところでの大音響は思わず飛び上がった)とクライマックスのシーンなのだけど、これはクライマックス1箇所に絞っても良かったんじゃないかとは思った。まあクライマックスにしても自分は乗り切れない部分があったので、それでもダメだったかも知れないけれど。

クライマックスはなあ。。劇場内で一人大拍手していた人がいたけど、それに同調することはできんかったなあ。。いやあのダンスシーン自体はすごく良いと思うのだけど、あそこに感情のピークを持っていくための段取りが不足している(もしくは自分には抜け落ちてしまった)ように思えた。でも印象に残るシーンは結構あったと思う。ペピーが、金に困ったジョージの売っぱらった私物を全て買い取っていたことが分かるシーンは、サイコサスペンスかと思わせる良いシーンだった。