ミッション:8ミニッツ

「爆弾犯を見つけるために、謎の装置で乗客の意識に潜入し、列車爆破までの8分間を何度も繰り返して捜査を行う」という設定を知ったとき、何という俺得な話!と思って興奮したもんだけど、その期待を裏切らない傑作でした。

(以下ネタバレ)


上述のような奇抜な設定ながら、それだけで終わっていないのが素晴らしいし、観る側に少しずつ情報を開示していくのも上手い。テンポも非常に良くて90分があっという間だった。

観ていて思い出した小説は「神は沈黙せず」や「アイの物語」だった。グッドウィンたち「現実」側は、列車事故はすでに起こったことであり、プログラムの中で人助けをしても無駄だ、と主人公に言う。そちらは「現実」ではない、と。確かにそうなのかも知れないが、それでも、たとえプログラムの中でも、見て触れて感じることができれば、それは「現実」ではないか、と。最後のミッションに挑む主人公は、そんなことを思っていたのではないかと感じた。

ラストの意外な展開には結構驚いた。最初は、これは蛇足ではないか、あのストップモーションで終わればエモーショナルな感じがより際立つのではと思ったけど、ああいうSF的オチもあれはあれで良いなあ、と今は思ってます。代償としていくつもの「助けられなかった世界」を作っちゃったけど。。