七瀬ふたたび

今週原作を読破したばかりなので、観ている間バリバリ比べまくりでちょっと自分でもどうかと思った。

(以下ネタバレ)

まず、本編の前にしょこたんが監督したプロローグが上映されて、これがなかなか良かった。七瀬の母親が、ふと目に留まった男性に抱く「ぐっちょぐっちょな」イメージを、言葉に頼らずアニメ的な映像で見せていて素晴らしかった。

で、本編。本編は構成が原作とは変わっていて、ヘニーデ姫と出会うあたりから始まって、それ以前の予知能力者の恒夫や透視能力者と出会うくだりは、回想という形で物語られる。そのために、なんだか色々な説明が省かれちゃってて、正直原作を知らない人には何が何だかわからないんじゃないか、という気持ちになった。原作を知っている自分にしても、例えば恒夫が最後に七瀬と会話しちゃうシーンとか、首を捻ってしまう原作改変が行われているので、なんだかなあという感じではあった。

肝心の心を読むシーンも、思っていることが文字で表示される表現が主なので、そこも残念だったなー。あ、でもヘニーデ姫が死ぬところで、一人エレベータの中で、誰にも看取られることなく死んでいく無念さを彼女の主観で表現しているところは良かった。

あとはなんといってもラスト。原作とは異なるが、タイトルの「七瀬ふたたび」を新たに解釈した良い結末だった。タイムトラベル能力を持つ藤子以外は皆死んでしまうという展開なのだけど、最後に七瀬が「私たち能力者が幸せになる世界を作って…」というシーンはぐっときた。