手帳萌え

手帳に憧れていた頃のことを思い出した。

 小5の頃、予定を手帳に書き込むということと手帳を持つということに憧れて、親にねだって買ってもらったことがあった。しかし、自分に手帳に書き込むほどの予定などないことに気付き、憧れた理由のひとつはどこかへ飛んでいった。しょうがないので、もうひとつの憧れを実行するため、手帳をランドセルの中に入れて登校した。それも一週間もすると忘れるようになり、いつしか手帳は家の机の引き出しに入ったままになっていた。

 それからしばらくして、ふとその手帳を見つけ、開いてみたことがあった。何も予定が書かれていないページ達。その中に、一ヶ所だけ書き込みのあった日付の部分があった。2/19。「ふすま 外す」。予定ではなかった。それも、ふすまを外してしまったという出来事のみの書き込みだった。他には何もなかったのか、2/19には。いたたまれなくなり、手帳を元あった引き出しに戻した。それからは二度と開いていない。