横道世之介

ダークホース。最初予告を観たときはあまりひかれず、3時間弱という上映時間を知ったときは「カラスの親指」のときと同じように「長っw観ないよww」と思ってしまったのだけど。

ネットでの評判の高さと、すぐに上映が終わってしまいそうだったので早速観ることに。

結論から書くと、いやー長尺ながら面白かった。最後の方はさすがにダレてしまったのだけど。。

(以下、ネタバレ)

まず登場人物のキャラクターとやりとりが面白くて、それだけで引き込まれる。起こること自体は派手でもなんでもないのだけど、だからこそ普遍的でかけがえのない感じというのが出ていた。

この映画の舞台である1980年代後半の景色(新宿駅周辺とか)は、1983年生まれの自分にはなじみのないものなのだけど、なぜか「懐かしい」と思わせてくれた。斎藤由貴のカセットテープの広告とか。

1980年代の「過去」と2000年代の「現在」が交互に語られるというスタイル。「過去」で世之介に出会った人物たちは、「現在」でふと彼のことを思い出し笑う。「そういえばあいつ。。」と。「過去」の出来事を直前に観ている身としては、「現在」の様子を観て「え、今まで世之介のこと忘れてたのかよ。なんだよそれ」と思ったりしたのだけど、まあずっと世之介と一緒の付き合いであればともかく、おそらく会わなくなって10年以上経っているだろうから無理もないかなと。
それよりも、彼のことを思い出すときに思わず笑顔になる、というのがいいよなあと。そういう友達をもてた、そういう思い出があるということが何より素晴らしいのだと。

ただ、後半に世之介が亡くなってしまったことが分かってから描かれる「過去」のシーンは、なんというかつじつま合わせ的な見方になってしまってあまり物語に没入できなかったのが残念なところ。例えば、「ああここで写真に興味を持ってカメラを持つようになったんだ」とか、「ああここで撮った写真がさっきの遺品に入ってたやつか」とか。