イングロリアス・バスターズ

初めましてという感じ。「キル・ビル」も「グラインドハウス」も映画館で観なかったから。理由は知らん。アホか俺。

(以下完全ネタバレ)

で。やはり大画面で観る、タランティーノ監督作ならではの会話の緊張感はすごいものがあった。Chapter 1の、ランダ大佐とユダヤ人を匿う農夫のやりとりとか、Chapter 4のナチス親衛隊と連合国側とのやりとりとか。観てて胃がキリキリする感じ、これだ、「パルプ・フィクション」の、サミュエル・L・ジャクソン大演説のくだり的なシーンが遂に劇場で観られたんだ!

あとは、爽快感を伴わない凄絶な暴力。バットでドイツ軍兵士をボコボコにするところはもちろん(ここはワンカットで見せるのかと思ったら、さすがに一発目殴る瞬間はカットを割っていた)、地下酒場での銃撃戦、戦、っていうか単なる殺し合い。しまいにはヒトラーを蜂の巣にする様子とか(ここのイーライ・ロスの表情は凄かった)。ドイツ側の人間に好感の持てる描写があったりするので、やるせなさはなかなか凄いものがある。

ただ、ショシャナの作戦とブラッド・ピットの作戦が全く絡まないのがなんというか。映画館が火の海になってるのに、驚く様子もなくナチを殺していくイーライ・ロス達に違和感が。まあ、ヒトラーを殺るってことでテンションが上がりきってそんなこと気にならないということなんだろうか。

ショシャナとランダ大佐がChapter 3以降絡みなしというのもなあ。ぜひランダ大佐とショシャナの対決を見たかった。そういう意味では、あの「ボーン・アルティメイタム」にも出ていたダニエル・ブリュールが邪魔でしょうがなかった。「自分が大勢の人間を殺す映画なんて見たくないんだよ〜」といいつつショシャナに拒絶されたら途端に「俺は敵を山ほど殺した英雄だぞ!」とキレ出すところは、うざさの極みでイラついたが名場面でもある。あとはその後の心中的撃ち合いのシーンの唐突さ、そこでかかる曲のブツ切り加減も、ショシャナの最期としてはこりゃねえんじゃねえの、と思いつつも印象に残る場面ではある。

あとランダ大佐と交渉するブラピのボスの声、ハーベイ・カイテルじゃないか?と思ってWikipediaを調べたらその通りだったので鼻高々。