クラウド アトラス

マトリックス」のウォシャウスキー兄弟姉弟と「ザ・バンク 堕ちた巨像」のトム・ティクヴァの共同監督による、上映時間約3時間のSF超大作。

時代の異なる6つの物語が入り乱れて描かれるという複雑な構成のためか、全米での興行成績は振るわなかったが、一見複雑な構成をそうとは思わせず、かつ3時間飽きさせない内容で描き切ったのは単純にすごいなと。

(以下、ネタバレ)
上記でも書いたように、時代の異なる6つの物語が入り乱れて描かれるため、ある時代では悲劇の結末になってしまったが、カットが変わると別の時代でハッピーエンドに、という流れでトータルでなんか救われたような気になったりした。
しかも、そのハッピーエンドな展開は悲劇の遥か前の時代の出来事だったりするので、過去も未来も等価値に並行に描くというスタイルならではな演出が良かった。

ちなみに、6つのエピソード名と時代は以下の通り。

  1. 「アダム・ユーイングの太平洋航海記」:1849年
  2. 「セデルゲムからの手紙」:1936年
  3. 「半減記 ルイサ・レイ最初の事件」:1973年
  4. 「ティモシー・キャヴェンデッシュのおぞましい試練」:2012年
  5. 「ソンミ451のオリゾン」:2144年
  6. 「スルーシャの渡しとその後のすべて」:xxxx年(文明崩壊後の世界)

ウォシャウスキー兄弟姉弟は1・5・6、トム・ティクヴァは2・3・4のエピソードを担当。個人的な好みとしてはトム・ティクヴァが監督したエピソードがどれも好きだった。

これだけのエピソードの中で、1人の俳優が何役も演じているのもみどころ。エンドクレジットで「この人はこの役をやってましたよ」というのが分かるのだけど、驚いたのはベン・ウィショーがエピソード4で女性を演じていたのと、ヒュー・グラントがエピソード6で悪役として出てくる部族の首領を演じていたこと。あのヒュー・グラントが顔にペイントを施して、あんな野蛮な感じで出てくるとは思っていなかったのでびっくりした。